管理牧師笹森司祭のメッセージ


                                       
           「愛には偽りがあってはなりません。 兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬を持って 互いに相手を優れたものと思いなさい」(ロマ12:9-10)   
                                         
                             仙台聖フランシス教会 管理牧師
                           東北教区 司祭 アタナシオ 笹森伸兒



司祭 アタナシオ 笹森伸兒

 教会の教えと社会が求めているものとのギャップが、余りに違いすぎると、しばしばイヤになることがあります。
花子とアンのストーリーが戦前の昭和に近くなり、軍師官兵衛の秀吉のキリシタン追放が近づいてくると、
人はいかに学んだことを忘れ去ってしまう弱いものなのかを、つくづく思わされてしまいます。私は歴史が好きですが、
それなのに、水戸黄門や居眠り磐音など、あるたぐいのチャンバラばかり見ているのは、一つ一つの出来事について
勧善懲悪が明快に完結するからなのかも知れません。

 聖パウロの、愛には偽りがあってはなりません。
兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬を持って互いに相手を優れたものと思いなさいという教えを、では、
あなたは貫き通すことができるのかと問われれば、
軍事や経済の上で一部の人たちだけが主張している社会的な動きに、
何も言えない自分の情けなさに忸怩たるものを覚えるのです。

 今の世界の中で、わたしたちの日本は目に見えない右傾化を警戒されて来ているのかも知れません。
こういうときだからこそ、私たちは、愛には偽りがあってはならず、兄弟愛をもって互いに愛し、
尊敬を持って互いに相手を優れたものと思わなければなりません。
たとえ自分とは違っていても、人には人の考え方があるということを、
受け入れて生活していかなければならないのです。
せめて教会の中では、この教えを貫きたいと思います。




                                           (聖フランシス教会 2014年9月号・月報)