管理牧師加藤主教のメッセージ


                            教会の変化ーこの50年
                                               
                             仙台聖フランシス教会 管理牧師
                           東北教区 主教 ヨハネ 加 藤 博 道


1960年代半ば以前の教会を知っている方、覚えている方は、この約50年、ずいぶん教会の考え方や雰囲気が変わったなと感じておられると思います。目に見えるところでは、東(礼拝堂の奥)を向いていた祭壇―司式者の向き―が対面式になったり、文語の祈祷書が口語(日常的な言葉)になったりしました。教えの面で言えば、かつては「神様と自分」の関係が大事、個人の魂の救いが大事という面が強く、礼拝の後の会食等は、司祭によっては不要、むしろ好ましくないとさえ考えられていたものが、教会における「交わり」の大切さが言われるようになり、また「洗礼を受けていないと救われない」という考え方から、洗礼はもちろん救いの印であるけれども、クリスチャンでない人々の中にも、時にはクリスチャン以上に神様に近い人たちだっていると、教会は理解を変えてきました。教会の社会的な責任、人権等への意識もますます重要視されるようになりました。それらの変化は、19世紀以降、20世紀、とくに第2次世界大戦以降、世界の激動(東西の冷戦や、アフリカ、アジアの飢餓や貧困、人間の様々な危機)の中で長い時間をかけて起こってきたものでした。現代の世界、人間の生活と精神にとって、教会にはどのような存在理由があるのかと、鋭く問い直された時代であったわけです。

 1962年から65年にかけて、ローマ・カトリック教会は「第2バチカン公会議」という3年もかけた大きな会議を開催しました。そして大変な議論を経て多くの重要な文書が出されました。『教会憲章』は教会が、教皇や司教を頂点とした「ヒエラルキー」ではなく、むしろ信徒の教会、「旅する神の民」であると宣言しました。礼拝についての研究と変化、他教派や諸宗教との関係、

世界の諸問題に対する教会の責任等々。もちろんカトリック教会だけでなく、聖公会はもちろん世界の教会に共通した取り組みが起こっていきました。今はちょうどの第2バチカン公会議の50周年にあたります。わたしたちの教会の礼拝と宣教を見直す、良い機会でもあります。



                                                     (聖フランシス教会10月号・月報 巻頭)
                             
                
                                          

                <日本聖公会東北教区主教。仙台聖フランシス教会管理牧師。加藤博道>